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2012-03-21(Wed)

サムスンにとって韓国の法律は法律ではないのか

 19日付本紙10面に、公正取引委員会がサムスン電子水原工場に対して家宅捜索を行ったときの様子を報じる記事と写真が掲載された。この記事は現在の政府と財閥の力関係を示す、ある意味衝撃的なもので、この国では法律でさえも財閥の敷地や工場内では力がなく、財閥は「法の上位」あるいは「法の外」で治外法権を行使できるという現実を、あらためて見せつけるものだった。

 昨年3月24日午後2時20分、公正取引委員会の複数の担当者がサムスン電子水原工場を訪れ、自らの身分と訪問目的を告げ、敷地内に入ろうとした。すると、工場の警備員たちは「事前の約束なしに中に入ることはできない」として、担当者たちを制止した。しばらくして中から2人の社員が出てきて、警備員と共に公取委関係者の立ち入りを50分も遅らせた。後から公取委が入手した工場内部の監視カメラ映像には、その間にサムスン側が関連資料を全て廃棄し、机や引き出しを取り換え、調査が行われる予定だった社員のパソコンを新品に交換する様子が映し出されていた。

 公取委から電話を受けた役員は、そのとき敷地内にいたにもかかわらず「ソウルに出張中」とうそをついて現場から逃れ、それ以外の関係者も全員が現場から立ち去った。後に公取委は担当部署を訪問したが誰にも会えず、資料も押収できないまま、手ぶらで戻らざるを得なかった。韓国最大財閥の主力企業で、しかも業界では世界トップを走るというサムスン電子の役員(専務)が、大韓民国政府機関の業務を先頭に立って妨害したというわけだ。

 サムスン電子の傍若無人な行動はこれだけでとどまらなかった。サムスン電子は事件後、セキュリティー体制をさらに強化し、建物の出入り口はもちろん、正門でも車の立ち入りを禁止してバリケードまで設置した。さらに重要資料を対外秘に指定し、必要なら永久廃棄するなどの対策も取りまとめた。上記の問題が起こった数日後、現場で公取委の捜索を妨害して資料を破棄、あるいは差し替えた容疑について調べるため、公取委が当時建物内にいた人物の記録を求めたところ、サムスンは問題の社員の氏名が記載されていない虚偽の資料を提出した。騒動後、サムスン電子社内の会議で、当時警備を担当した会社とその社員の行動は大きく称賛されたというが、これらの事実は公取委によってすでに確認されている。

 サムスンが正門前にバリケードまで設置し、政府担当者の立ち入りを妨害したという事実は、この国には大韓民国以外にサムスンというもう一つの政府が存在することを意味している。サムスン電子がこれほどの横暴を働くからには、何か頼れる黒幕がいるのは間違いないだろう。これまで数十年間、政府が左右のどちらを向いていたとしても、議員や官僚、司法、学会など、この国の中枢部に「奨学生人脈」を送り込み、さらに韓国でトップクラスの法律専門家を確保することにより、サムスンは大韓民国の法律による規制を跳ね返す自信を得たようだ。

 サムスンは大韓民国の法律だけを見下しているのだろうか、それとも世界中の法律がサムスンの前に膝を屈しているのだろうか。「自らの力を信じて天に上った竜は必ず後悔する」ことを諭した「亢(こう)竜有悔」という言葉を、サムスンは今こそ重く受け止めなければならない。

(朝鮮日報日本語版  社説・コラム)
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