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2011-12-04(Sun)

大恐慌がもたらしたカオスと国家主義 現代に忍び寄る「1930年代の影」

 世の中の状況が再び悪くなる可能性はあるのだろうか? そう、1930年代の大恐慌とか世界大戦といったレベルの非常に悪い状況のことだ。筆者の世代が思い浮かべるようになった激変と言えば、もう歴史書でしか目にしないものばかりだ。

 今の欧州に不吉な予感が漂っていることは確かである。ポーランド外相が28日に訪問先のベルリンで、欧州は「崖っぷちに立っている」と警告したことは最新事例にすぎない。

欧州大陸の平和を保証するユーロの危機

 フランスのニコラ・サルコジ大統領も先日、「もしユーロが爆発すれば、欧州も爆発するだろう。恐ろしい戦争がたびたび行われた大陸で平和を保証しているのはユーロなのだ」と述べていた。

 欧州の政治家は以前から、お気に入りの欧州統合プロジェクトへの支持を取り付けるために、戦争の脅威に言及する手をよく使ってきた。平時であれば、この種の話に真剣に耳を傾けるヨーロッパ人はほとんどいない。

 それどころか、平和で繁栄した西欧で生まれ育った人々にとっては、戦争の話は本質的に信じがたいものに思える。筆者がこれまで生きてきた世界では、多少の浮き沈みはあったものの、世の中の状況は着実に良くなっているように思えた。

 ナチスは既に打ち負かされていたし、スペインやポルトガル、ギリシャでは独裁政権が倒れた。ソビエト帝国も崩壊し、南アフリカ共和国ではアパルトヘイト(人種隔離)が終結した。

平和と繁栄が当たり前になっていた世代

 西側に住む筆者の世代にとって、平和と繁栄は当たり前なものとなった。その点で自分たちがほかの大半の国々と異なっていることも、忘れてしまいがちだった。筆者はつい先日も、知人の中国人学者ヤン・シュエトン(閻学通)氏の著作で次のような一節を見つけてたじろいでしまった。

 「文化大革命のころは、殴り殺される人をよく見かけた。そうなると、そういうことにはあまり動じなくなる」

 しかし過去30年の間に、平和や繁栄、そしてそれなりの快適さを求める気持ちは、国境を越えて恵まれた西側以外の国々へも広がっていった。

 文化大革命の中国はショッピングモールと工場の中国にその座を譲った。マザー・テレサのインドも、部分的ながら情報技術(IT)革命のインドに取って代わられつつある。

 グローバル化のために、世界は以前よりも安全になって均質化も進んだと思われるようになった。アジアや東欧の新しい中間層が資本主義の安心感と価値観を受け入れたのだ。

 冷戦の時代には核兵器頼みであるように思われた世界平和も、今では国際貿易と、多くの国々が受け入れた大量消費主義が支えているように見える。

 世界経済危機が勃発するまでは、トニー・ブレア氏が1997年の選挙で使ったテーマ曲「Things can only get better(状況はもっと良くなる。それしかあり得ない)」の文句が時代の空気をつかんでいるように思えた。

 しかし2008年のリーマン・ブラザーズ破綻以降、我々は、状況が間違いなく悪くなり得ることに気づいた。では、果たしてどの程度悪くなり得るのだろうか?

大恐慌がもたらしたカオスと国家主義

 欧州は深刻な経済危機のリスクに直面している。ソブリン債務のデフォルト(債務不履行)や単一通貨ユーロ解体の恐れが高まりつつあり、それに伴って銀行の破綻、人々のパニック、深刻な景気後退、大量失業などが生じる可能性も出てきている。まさに大恐慌の現代版といった感じだ。

 欧州連合(EU)を1つの単位と見なすなら、その経済規模は世界で最も大きなものとなる。従ってEUで経済が混乱すれば、その影響が全世界に及ぶことは避けられない。貿易は停滞し、世界金融システムも脅かされることだろう。

 1930年代の教訓とは、世界恐慌は民主主義を弱体化させ、極端な政策を掲げる新たな政治勢力を台頭させ、その過程で国際紛争のリスクを高めてしまう、というものだ。

 1930年代の現代版が現実のものになれば、欧州では経済の混乱とEUの分裂を背景に、新しい世代の国家主義者たちが政権を握ることになるだろう。世界経済の状況が悪化するにつれ、欧州以外の地域でも緊張が高まるだろう。

 台頭する中国が弱体化した米国と相対するアジアでは、勢力バランスの変化がさらに加速するだろう。中国でも米国でも、経済危機になれば国家主義者や保護主義者が影響力を強めるだろう。

 いずれも、あり得ないシナリオではない。だが、これだけ似ている面があっても、筆者はまだ、我々が1930年代に戻りつつあるとは思えずにいる。そういう事態は回避できそうだと考えている理由は主に3つある。

1930年代の再来は回避できると考える理由

 第1に、80年前にどこをどう間違えたかという知識が、同じ間違いを政治家が回避するのに役立つ可能性がある。例えば、中国は「平和的台頭」の必要性をずっと強調しているが、これは戦前の大日本帝国がひどい過ちを犯したことを知っているためでもある。

 第2に、強国や先進国の間で1945年から66年間も平和が維持されてきたことは、世界史のサイクルに恵まれたからではなく文明の進歩を反映しているのだという説得力のある指摘がある。

 ハーバード大学のスティーブン・ピンカー教授は最新刊『The Better Angels of Our Nature(人間の本性に住まう善良な天使たち)』で、人類は次第に好戦的でなくなってきており、「我々は今日、人類史上最も平和な時代を生きているのかもしれない」と論じている。

 最後に、先進国は現在、1930年代が始まるころよりもはるかに豊かな暮らしをしている。経済が破綻すれば人々は貯蓄や職、住宅を失ってしまうかもしれないが、貧困のどん底にまでたたき落とされることは考えにくい。その結果、過激な政治主張にはあまり傾倒しない可能性がある。

 例えば、ラトビアでは2009年に経済規模が18%も縮小したが、先日行われた選挙では2つの中道政党が勝利を収めた。またスペインでは失業率がすでに22%を超えており、若年層に限れば45%超に達するが、それでも今月の選挙では穏健な中道右派政党が勝っている。

 従って、深刻な経済危機が訪れるリスクは非常に現実的なものではあるが、世界が再び戦争への道を歩み出す恐れがあるとは筆者には思えない。もっともこれは、過去に例のないほど平和で繁栄した時代に生まれ育った幸運な男の想像力が欠けているだけなのかもしれないが。

(JB Press   海外)
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