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2011-11-29(Tue)

あなたの会社が危ない! パナソニック、トヨタほか深くて長い苦悩の始まり トップ企業が次々「赤字転落」「業績不振」

 何かが変わった。この不調は円高のせいだけじゃない、これからずっと続くのかもしれない

 確かに大震災はあった。円高の影響も大きいだろう。でも、日本企業がダメなのはそれだけが理由なのか。その危機感が一流企業から伝わってこないことが、実は一番大きな問題なのかもしれない。

ジャーナリスト 井上久男



決算発表での異様な光景

 10月末から11月にかけて発表された日本の名だたる大企業の業績は、3・11の東日本大震災や、ギリシャ・ショックに端を発した1ドル70円台という超円高の影響を受け、大幅な赤字や大不振に陥った。メディアでは「'08年秋のリーマン・ショック以来」という言葉が躍る。では、これらの外的要因がなくなれば、この苦境は一時的なものとして、ふたたび日本企業は立ち上がることができるのだろうか。それとも、もっと根本的なところに日本企業共通の病巣があり、これまではリストラなどで覆い隠してきたものが、震災や円高によって一気に吹き出しただけなのか。

 10月31日午後、大阪ビジネスパーク(OBP)にある「パナソニックタワー」では、パナソニック2011年度連結中間決算(4月~9月)に関する記者発表が行われた。毎年恒例の発表だが、今年は会場内に異様な雰囲気が漂っていた。

 原因は記者席の最前列に並んだ、いかつい坊主頭の男性6人。彼らは全員、日本経済新聞大阪経済部の記者である。基本的に企業寄りの記事が目立つ日経新聞において、彼らは「大阪電機軍団」とも呼ばれ、批判的な記事を書くことで企業から恐れられる存在だった。

 会見の質疑応答では、この坊主頭の記者たちが一斉に質問の手を挙げるが、パナソニック側は徹底無視。彼らに質問の機会は与えられなかった。

 その理由について、ある電機メーカー幹部がこう明かす。

「決算発表直前の10月31日午前7時にアップされた日経電子版の『コンフィデンシャル』というコラム記事が原因のようです。記事では、パナソニックの経営トップである中村邦夫会長らの経営手腕や企業風土にまで踏み込んで同社を批判しています。その記事に怒った同社が日経記者を無視したというのは、在阪メディアの間で有名な話になっています」

 この会見では、従来300億円の当期黒字と予測していた'12年3月期連結決算を、4200億円の赤字に大幅下方修正。赤字額はパナソニックの経営史上でも過去2番目に大きく、'00年に社長に就任した中村現会長による大規模リストラの影響で、4310億円の赤字を出した('02年3月期)のに次ぐ。

 同社は赤字の原因を、薄型テレビやDVDなどが主力の「デジタルAVCネットワークス部門」の不振と円高の影響によるものとしたが、先の日経コラムではもっと根本的な原因が指摘されている。

〈トップの判断に意見を挟めない企業風土になってしまった。一度決めた判断を決して間違いではなかったように見せかけることに必死になっている〉

 そして、コラムの結びはこう締めくくっている。

〈日本の製造業をけん引してきたパナソニックは今、社内にも社外にも現状と今後を正直に語るべき時期に来ているはずだ〉

 ただし、このコラムはその後更新され、なぜかこうした表現の一部は削除されている。パナソニックに限らず、日本企業は外部からの批判を極端に嫌う。現トップが経営判断を誤ったことを社内外で認めて、小手先ではない徹底した構造改革をする姿勢が欠如している。日経コラムの指摘は正論だろう。

 たとえば、テレビ事業が不振なのは、後で触れるソニーも同様である。原因は値崩れや、韓国のサムスン電子、LGとの競争に負けているからに他ならない。もはや日本製というだけで、多少値段が高くても売れる時代ではない。価格競争力だけでなく、商品そのものの質でも、日本製のアドバンテージはなくなる一方だ。

 この構図は、なにも最近始まったわけでなく、日立製作所はテレビの国内生産からの撤退を決め、シャープもテレビ用大型液晶からスマートフォン向けの中小型液晶の生産に切り替えを促進させている。業界のなかでもパナソニックの対応は鈍かった。

 在阪の財界担当記者は、その理由について、「不振のAVCネットワークスは、中村会長や大坪(文雄)社長の出身母体であり、歴代トップを輩出してきた本流中の本流の部門だけに、しがらみも多く、メスを入れるのが遅れた」と語る。日本的な「しがらみ」を理由に、トップの出身母体だからと不採算部門を漫然と放置しているようでは展望はない。

 こうしたパナソニックの動きに、市場は敏感だ。11月17日現在の株価は692円と格下のシャープ(725円)、三菱電機(706円)にも負けている。なお、これは30年前の同社の株価と同じ水準だ。

「円高協力金」

 世の中が変わってしまったことに気付いたのか、パナソニックも今後、他社に遅れてやっと構造改革に動く。当初は1100億円と見込んでいた構造改革費用を5140億円にまで積み増しした。人員削減も加速させ、2012年度末までに行う計画だった、過去最大規模の4万人削減(全グループの1割超にあたる)を1年前倒し。完全子会社化した三洋電機では、入社2年目以上を対象に苛烈なリストラが進められている。

 その一環として三洋電機は、親会社パナソニックとの事業重複を避けるために、洗濯機や冷蔵庫という、いわゆる白物家電の事業を中国の家電最大手「ハイアール」に売却した。突如、中国企業で働くことになった社員たちから、恨み節が聞こえるかと思いきや、「これから沈んでいく泥船のパナソニックに行くよりも、中国企業に行くほうが活路を見出せる」

 と歓迎する声のほうが多いという。

 業績が悪くなれば、一時的なリストラで取り繕う。これまで日本企業では何度も繰り返されてきたパターンだが、これは構造的問題を抱える没落企業の典型的なパターンでもある。

 いまの日本企業に必要なのは目先の利益確保のためのリストラではなく、どの分野・商品に注力し、グローバル競争のなかで、どういう位置づけを狙うのかという戦略だろう。

 パナソニックは新鋭工場でありながら低稼働が続く巨大プラズマ工場(尼崎市)の設備を中国に移管し、その跡地で太陽電池生産を行うことを決定していた。太陽電池は今後の成長が見込める分野だからだ。ところが、これも円高などを理由にすべてを白紙撤回してしまった。戦略をころころと変えてしまう様は、調子を落としたプロ野球選手が、小手先だけで打撃フォームを改造して、さらに泥沼にはまるパターンに似ている。

 パナソニックと並び日本の産業界をリードしてきたトヨタ自動車も、一段と業績悪化が進んでいる。トヨタが11月8日に発表した中間連結決算は、売上高が前年同期比17・2%減の8兆159億円、営業損益は3231億円の黒字から326億円の赤字に転落した。

 理由はやはり、東日本大震災の影響による約69万台の販売台数減、円高だというが、この数字にはタイの洪水の影響は加味されていない。トヨタの営業損益を地域別に見ると、日本と欧州は赤字で、北米が615億円の黒字、東南アジアが1305億円の黒字と、今や東南アジアが稼ぎ頭になった。その最大の生産拠点がタイにある。水没は免れたものの、部品供給が止まったため、操業が一時停止に追い込まれ、復活してもすぐフル稼働には戻らない。要するにどれくらい業績が悪くなるか見通しすら立たないのである。

 そこでトヨタが取っている施策の一つが、これまたいかにも日本の大企業らしい下請けへの締め付け。

「うちは売上高に占めるトヨタ向け部品の比率が80%を超えていますが、その比率を落とさないと、もう経営が成り立たないようになっています」

 こう深刻に語るのは、中部地区に拠点を持つ中堅下請け部品メーカーの役員だ。今春に突然、トヨタの調達担当者から中国製の部品を見せられて、「これと同等の価格で生産できないと、将来は取り引きできないかもしれない」と切り出された。ざっと計算したところ、中国製のほうが4割ほど価格が安かった。

「4割も売価が下がれば持ちません。コストを下げるには海外生産を加速させるしかないので、近いうちに社員には『国内ではこれからは仕事がなくなるので、海外の生産拠点に移住するくらいの覚悟が必要』と説明する予定です」(同役員)

 さらに急激な円高のしわ寄せも下請け企業に押し付ける。同社では1円円高になれば年間350億円の利益が吹き飛ぶ。トヨタに納入する部品価格は通常、半期ごとに見直され、毎回1~1・5%下げられてきた。それを'11年度下半期は、さらに1・5%上乗せして一律3%の値引きをするよう要請があった。下請け企業はこの値引き要請を「円高協力金」と呼んでいるが、彼らとて生き残りに必死。部品メーカーのトヨタ離れは確実に進んでいる。

売れる商品が作れない

 トヨタを長らく取材してきた筆者から見ると、同社の業績が上向かない本質的な理由は2つある。ひとつは、国内の過剰設備や過剰人員、高コスト体質といった構造的な問題。もうひとつが魅力的な製品を作り出せていないという問題だ。

 特に後者の「魅力的な製品が作れない」という問題は日本企業に共通の深刻な問題だ。

 トヨタを例に取ると、いまや世界最大となった中国市場で、今年上半期(1月~6月)の販売台数は2・2%減少。中でも主力車の「カムリ」が20%近くも減った。その理由はいたって簡単。貧富の差が拡大している中国では、高級車と低価格車が売れる二極分化が進んでいる。現に'10年にBMWは前年比2・1倍の18万台売れている。中国人にとってBMWは、成功のシンボルになっているからだ。

 そのなかにあって、庶民に手が届くほど安くはなく、カネ持ちには満足できない「カムリ」はいかにも中途半端だった。

 トヨタの高級車「レクサス」も中国で販売されているが、こちらはコストがかかり、最高級クラスの価格が日本円で1000万円以上と、BMWより高いわりに、BMWほどのブランド力がない。

 少子化が続く日本国内市場はもはやアテにできず、海外では売れる商品を生み出せない。しかも、その間にかつては世界一と言われた技術力も低下していく日本企業。

 その象徴と言えるのがソニーだ。11月2日に発表されたソニーの'11年度の業績予想は、7月段階の予測600億円の黒字から、わずか3ヵ月で900億円の赤字に変わった。理由は他社と同様、超円高を挙げつつ、テレビ事業の不振だと語っている。

 同社幹部の説明。

「テレビ事業の赤字は今期で8年連続です。社内でも撤退すべきという意見があるのですが、逆に'13年には黒字化を達成するという計画を立てています。社内でも本気で達成できるかどうか懐疑的な人間は多いですが・・・。

 以前、我が社は技術のソニーと言われ、ウォークマン、プレイステーション2という世界中で売れる大ヒット商品を作ってきました。しかし、プレステ3でコケてソニー・コンピュータエンタテインメントの久夛良木健社長が退任してからは、かなりの数の技術者が退職しました。ストリンガー会長が来て、映画や音楽などエンターテインメント事業が柱になって、昔のソニーらしさはなくなったと言えるでしょうね」

 ソニー経営陣は、かつての「技術のソニー」という看板を守るため、どれだけ赤字続きだろうがテレビ事業から撤退する決断ができないまま、ここまで来た。それで大ヒットが生まれればよかったが、世界市場向けに小型の安価なテレビを作るか、高価な大型液晶テレビの開発に力を入れるかという方針も決まらなかった。ようやく販売台数を減らして大型液晶など次世代テレビの開発に力を入れる方針を発表したが、一度失った技術力が簡単に戻るのか、やはり前途は厳しい。

 ホンダは、苦境が続く日本企業にあって数少ない優良企業と言われてきた。しかし、そのホンダも「病魔」に侵され始めている。

 ホンダが10月31日に発表した中間決算では、主力の四輪事業の営業損益が前年同期の2353億円の黒字から1053億円の赤字に転落。四輪事業の不振を新興国での二輪販売の増加でカバーしたため、全体の決算では営業利益が81・1%減ながら750億円の黒字を確保した。

 ただし、この業績にタイの洪水での損失は計上しておらず、赤字拡大は必至。同社のタイにある四輪工場は洪水で浸水し、復旧の目途はまったく立っていない。下半期は東南アジア最大の拠点であるタイでの生産がほとんど停止してしまうことになる。

 さらに、米国市場でもホンダは変調をきたしている。

〈ホンダに一体何が起こっているのか〉

 米国の消費者団体が発行する専門誌「コンシューマー・リポート」は今夏、こんなタイトルを付けて、今年4月にモデルチェンジした「シビック」を酷評し、「最優秀商品」の座から外した。その代わりに推奨したのが現代自動車の小型セダン「エラントラ」。

 酷評の原因は、室内装備の品質感の低下などだ。バブル仕様だったのを急遽改めたことで仕上がりがお粗末になった。これまでのホンダのもの作りに対する姿勢や力からすれば想像もつかないことだ。燃費でも、高速走行では1ガロンで39マイルと、「エラントラ」(40マイル)の後に発売したのに追い付けなかった。それなのに価格はシビックのほうが高い。「ブランド力に胡坐をかいている」といった批判が出るのは当然の結果だった。

 ホンダは「震災の影響で部品供給が止まったので、シビックの販売も落ちた」と説明しているが、同社の中堅幹部の見方は異なる。

「一部の経営陣が、震災を業績悪化の理由にして言い訳している。凋落の大きな要因は役員人事の失敗や、『もの作りのホンダ』らしさの喪失にある」

 ホンダは米国で10月から反転攻勢に出る計画だったが、新車販売台数は前年同月比で0・5%減の9万8000台。むしろ同22%増で9万台を売った現代自動車の猛追を受けている。

 リーマン・ショック後、自動車業界は様変わりして新興国市場が急拡大し、安くて燃費の良い車が幅を利かすようになった。ホンダが従来強い分野だったのに、そこでも韓国企業に負けたことが、日本企業の行く末を暗示している。

アップルと何が違うのか

 かつて日本の製造業の強みは、「摺り合わせ設計」にあると言われた。新製品を出すたびに「カイゼン」を行い、宮大工的に一つ一つの部品を摺り合わせて作り込んでいくイメージだ。先に挙げたトヨタの「レクサス」などがまさにその典型である。だが、この日本方式は新商品ごとに部品を設計するため、開発スピードは遅れ、コストも上がる。しかも新興国では安い製品が好まれるから、これまでと同じ方式では利益なき繁忙に陥ってしまう。

 iPhoneなどが世界的大ヒットになっている米アップルの商品は、日本企業とはまったく正反対で、部品そのものはあらゆる商品で共通して使えるように標準化されている。

 玩具のブロックが、組み合わせを変えることで動物でも乗り物でも作れるのと同じだと考えればわかりやすい。こちらは日本の宮大工的商品と比較するとプレハブ的商品と言える。ここで重要なのは商品のコンセプト。平たく言えば企画力である。アップルの商品は、優れた企画力に圧倒的なデザイン力が加わり、しかも部品はありふれたものだから、あっという間に全世界に広がった。

 ソニーがかつて大ヒットを飛ばしたのは、この企画力が優れていたからだが、残念ながら一芸に秀でた技術者たちは去ってしまった。アップルのスティーブ・ジョブズのように癖があってもずば抜けた企画力を持つ人間は、日本企業では排除されてしまう。出世するのは調整型の人間ばかりだ。

 確かに日本国内が最大の市場だった時代は、それでも良かった。だが、市場が世界に広がったいま、日本企業はこれまでのやり方を根本的に変えなければならない。世界経済の潮目が大きく変化しているのに、過去のブランドイメージや成功体験にすがり、表面的な改革しかできなくなっているように筆者は感じる。

 産業界では「成功は復讐する」と言われる。戦後、何十年も続いた栄華の恩恵を受け過ぎたあまり、その反動が日本企業を襲っている。山が高ければ谷も深い。

 ただひとつ言えることがある。ホンダの創業者である本田宗一郎は「不常識が大切」とよく言った。これには過去の成功体験を健全に否定することが企業を永続させる条件のひとつだという意味が含まれる。人材起用にも投資判断にも過去の経験は役立たないと、経営者は肝に銘じる必要があるだろう。

 この絶不調を震災や円高のせいにしている限り、日本企業の苦境はずっと続くような気がしてならない。

(現代ビジネス  企業・経済)
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